銭湯で行う、環境学習。 ポカポカの「こんぶ湯」が 地域と地球の未来を救う。

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銭湯で行う、環境学習。ポカポカの「こんぶ湯」が地域と地球の未来を救う。 2022.12.27

OVERTURE

トキワ荘で知られる椎名町駅から、徒歩約2分。商店街の中ほどに現れる妙法湯は、地域の人たちと一緒に盛り上がる、多種多様な催しを精力的に打ち出しています。
今回は、地元の小学生たちと一緒に行う「こんぶ湯」のイベントを通して、店主の柳澤幸彦さんが考える、銭湯から見る地域の未来について伺いました。

Profile 柳澤 幸彦 Yukihiko Yanagisawa

妙法湯三代目店主。豊島区生まれ、豊島区育ち。東京都公衆浴場業生活協同組合理事・広報副委員長、豊島区浴場組合支部長などを兼務後、東京都浴場組合広報委員副委員長を務める。銭湯ファッションショーやサンシャインシティの足湯イベントなどさまざまな企画をプロデュースしている。

バシャバシャと昆布を洗う音が響く、椎名町のとある銭湯——。


海水や海藻を使用した海洋療法「タラソテラピー」という入浴方法。ヨーロッパ圏では親しまれていますが、日本の銭湯ではなかなか馴染みがありませんでした。

柳澤 「昆布って肌に良いだけでなく、実は環境にも良いんです。CO2を杉の木の5倍も吸収するうえに、海洋中の微細なマイクロプラスチックをキャッチすることもできる。そんな『昆布の力』を銭湯という場で子どもたちに学んでほしいと、教育活動にも展開をはじめました」

妙法湯を訪れていたのは富士見台小学校の子どもたち。昆布が環境問題の解決にどのように関わるのか、クイズに答えながら学んでいきます。座学の後は、こんぶ湯の準備のため、昆布を洗うお手伝い。自分の身長よりも長い昆布を洗いながら「ゼラチンみたい!」「昆布くさい!」と大盛り上がりです。地域の方々を癒したあとの昆布は、学校の花壇などで使われる肥料へと生まれ変わります。
 
 
柳澤 「豊島区には現在15軒の銭湯がありますが、時代の変化により数は減少し、どこも生き残りに必死です。地元の方たちを巻き込みながら、やれることをとにかく全部やっていきたいんです」

まちの銭湯の湯気を絶やすまいとする情熱を原動力に、柳澤さんが始めた活動は、実にバラエティに富んでいます。椎名町生まれのクラフトビールの店内販売や池袋モンパルナス時代のアート作品の展示、サウナの新設…。サウナに関する『ミシュランガイド』関係者も、秘かに視察に訪れていました。
 
 
柳澤 「どんな取り組みもまずはとしまのまちから、と思っています。こんぶ湯の取り組みも他県からもやってみたい、と相談が来るようになりました。がん手術の傷痕が気になる女性たちに向けて、“乙女温泉”というイベントをやったこともあります」

どんな人だって迎え入れてくれて、心も体もポカポカにあったかくなる。ご近所同士のコミュニケーションを大切にする昔ながらの銭湯は、チャレンジングな一面がある場所でした。
 
 

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