としまに吹くイスラムの風。 与えあい、交わす挨拶が 異文化を大切にするまちにする

  • としまに吹くイスラムの風。異文化を大切にするまちをつくる としまに吹くイスラムの風。異文化を大切にするまちをつくる
としまに吹くイスラムの風。与えあい、交わす挨拶が異文化を大切にするまちにする 2023.03.31

OVERTURE

大塚には、イスラム教の礼拝堂であるモスク・マスジド大塚があります。この地を拠点に活動しているのが、日本イスラーム文化センター会長のアキールさん。多様性を受け入れるコミュニティ・RYOZAN PARKと連携し地域の方たちを招き、イスラム地方の伝統料理でもてなしました。「長年実現させたかった」と話すアキールさんに当イベントに込めた想いを伺いました。

Profile シディキ・アキール

日本イスラーム文化センター会長。在日ムスリム。1963年に来日して大学で学んだ後、パキスタンに戻り会社員として働く。ふたたび1982年に来日し、以来40年近く大塚に在住。現在は大塚にある「マスジド大塚」を運営している。

イスラームの教えの1つ 「挨拶をせよ。人々に食事を与えよ」——。

とある平日の夜、RYOZAN PARK大塚はイスラム文化の交流イベント「マスジド大塚主催夕食交流会」の場として、大勢の人で賑わっていました。集まったのは地元・大塚の方やRYOZAN PARKの関係者の方など100名近く。性別・人種・年齢・思想・宗教の違いを超えたさまざまな人たちが言葉を交わしています。冒頭の挨拶で、主催者のアキールさんは喜びの言葉を語りました。

アキール 「私が日本に来てから、約60年の時が経ちました。食事会を何度も開催していましたが、ずっとムスリム(イスラム教徒)内でのつながりしか持てずにいました。地域の方たちと交流を持つというのは、私の夢だったのです」
 
誰一人取り残さず、多様性に寛容なまちを実現するためには、宗教も含めた多様な文化や価値観への理解が欠かせません。アキールさんの想いに共感した人たちが動き始め、この夕食会が実現しました。当日ふるまわれたメニューは、パキスタンやインドでよく食べられる炊き込みご飯の「ビリヤニ」。材料となる牛肉はマスジド大塚が提供したもので、イスラム法上で食べることが許されているハラール国産牛で、もちろん、ムスリム以外の人も一緒に食べることができます。

アキール 「イスラム教の教えに、『挨拶をせよ。人々に食事を与えよ』という意味のものがあります。今回はその教えのもとみんなで集う機会になりました」
 
今後も定期的にイベントを開催し、地域の人たちとの交流を深めていきたいと語るアキームさん。参加費や実施された募金は、その全額がトルコ・シリア大地震への支援に充てられます。

アキール 「日本人の国民性は、イスラムの教えに近いと感じています。例えば勤勉なところ、正直なところ。その国民性が大好きです。外国人だとか、日本人だとかに関係なく、私たちはみんな兄弟。一緒にご飯を食べれば、仲良くなれると信じています」

ともに話し、食事をする機会が生まれた今回のイベント。地域の人たちにとってもイスラム文化に触れる貴重な機会となっていくことでしょう。
 
 

関連するSDGs

  • SDGsアイコン10
  • SDGsアイコン11
  • SDGsアイコン16